若年者の大腸がんに関わる腸内細菌
近年、世界的に若年者の大腸がんが増加し、問題視されています。
それに関連する興味深い論文が2026/8/10 Nature Geneticsに報告されました。
東京大学と大阪大学の共同研究グループにより、日本の大腸がん患者200症例の全ゲノム解析(がん細胞のDNAを詳しく調べること)が行われました。
その結果、大腸がん患者の半数以上で「コリバクチン」と呼ばれる毒素による遺伝子の損傷が確認されました。
つまり、「コリバクチン」を産生する腸内細菌(大腸菌)が発がんに深く関与するという研究結果です。
また、40歳未満で発症した若年発症大腸がんでは、約70%に「コリバクチン」による遺伝子の損傷が認められました。
この遺伝子の損傷は1965年以降に出生した世代で高頻度に認められ、近年世界的に増加している若年発症大腸がんとの関連が示唆されました。
そして発がんの最も初期に生じる遺伝子の損傷が10歳未満という極めて幼少期に、すでに起きている可能性も述べられています。
これは、幼少期からの腸内細菌との相互作用が、数十年をかけて大腸がんの発症につながる可能性を示唆する重要な発見です。
以前から胃がんの発症には胃内に住むヘリコバクター・ピロリ菌による慢性炎症が発がんに関与するということはすでに知られていました。
この研究成果は大腸がんの発症にも特定の細菌が関わるということになり非常に興味深い結果だと思います。
ただ以前ブログでも書きましたが、高齢になって発症する大腸がんは食生活の欧米化などの生活習慣も大きく関与するということを忘れてはなりません。
今後は、コリバクチン産生大腸菌の検出や除菌、便検査による発症リスク評価など、新たな大腸がんの予防法や早期発見法の開発につながることが期待されます。